離れた拠点のカメラを、VPNなしで自社コンソールに採用する
こんにちは、NET INNOVATION です。
UniFi Protect 7.3 で、離れた場所にあるカメラを、自社のコンソール(NVR)へ直接アダプト(採用)できる「Protect Teleport」 が使えるようになりました(当初は Early Access で先行提供され、現在は正式リリース済みです)。
これまで UniFi Protect のカメラは「コンソールと同じネットワークにいること」が前提で、別拠点のカメラを使うには拠点間 VPN を組むのが定番でした。Protect Teleport を使うと、現地にインターネット回線さえあれば、現地に UniFi 機器がなくてもカメラを本拠点の Protect に登録して録画できます。
今回、弊社の2拠点で実際に試し、リモートアダプトに成功しました。その手順と、途中でつまずいたポイントを共有します。UniFi Protect でカメラと入退室をまとめて運用した実例は別記事「UniFiで監視カメラと入退室を1画面に統合」にまとめています。
ご注意 本記事は 2026年9月25日時点の Early Access(先行公開版) で検証した記録です。その後 Protect 7.3 が正式リリースされたため、「手順」と必要バージョンは正式版の内容に更新しました。 一方、「必要なバージョン(2026年9月時点)」の表・「検証環境」・「ハマりポイント」は、当時の記録としてそのまま残しています。公式に明記されている要件・制約は 記事中盤の追記にまとめました。
Protect Teleport とは
UniFi のゲートウェイには、以前から Teleport というワンクリック VPN 機能(WireGuard ベース)があります。Protect Teleport はこれを使って、離れた場所のカメラを本拠点の UniFi Protect へ安全につなぐ仕組みです。
公式リリースノートでは、次のように説明されています。
- 離れた場所のカメラを、自分のサイトに直接アダプトできる
- 対応カメラは G6 シリーズと AI シリーズ
- 受ける側(本拠点)には Teleport を有効にした UniFi Cloud Gateway が必要
- カメラ側のネットワークは UniFi でも他社製ルーターでも可(UniFi スイッチも不要)
なお、検証した2026年9月時点(Early Access)では、以下の機種は非対応とされていました。
- Doorbell Lite / G6 PTZ / G6 Mini Dome / AI Multi Sensor 2・4
※ これは検証当時(Early Access)の情報です。 正式版の公式ドキュメントでは「G6 シリーズ(Edge を除く)/ AI シリーズ/ Doorbell Lite が対象」と記載されており、上記5機種はいずれもこの区分に含まれます。対象外として明記されているのは G6 Edge シリーズと、それ以前の世代・他社製カメラです。詳しくは下記の追記をご覧ください。
必要なバージョン(2026年9月時点・すべて Early Access)
※ この表は検証当時(Early Access)の値です。正式版の要件は下記の追記をご覧ください。
| 項目 | 当時の必要バージョン | 今回の検証環境 |
|---|---|---|
| UniFi OS(コンソール) | 6.0.9 以上 | 6.0.10 |
| UniFi Protect | 7.3.53 以上 | 7.3.68 |
| カメラファームウェア | 5.5.13 以上(5.5.21 以上推奨) | 5.5.21 |
| Protect アプリ(iOS) | 3.12.0 以上 | 3.12.0(TestFlight) |
| Protect アプリ(Android) | 3.9.0 以上 | — |
検証環境
- 本拠点A:UniFi Cloud Gateway Fiber(UCG Fiber)
- 本拠点B:UniFi Dream Machine Pro Max(UDM Pro Max)
- カメラ:G6 Instant(Wi-Fi カメラ)
- 回線:au ひかり
弊社の検証ではカメラファームウェア 5.5.21 でリモートアダプトに成功しましたが、正式版の要件は 5.5.29 以上です。これから導入される場合は 5.5.29 以上に上げてから進めてください。
【追記】正式リリース後に公式ドキュメントで確認できたこと
(2026年10月3日 追記。以下の公式仕様はいずれもこの時点のものです)
本記事の執筆時点では、弊社が確認した限り公式の手順書が見当たりませんでした。現在は Ubiquiti のヘルプセンターに UniFi Protect: Teleport Adoption が公開されています。弊社の検証内容と照らして、補足しておきたい点を挙げます。
対応カメラ
公式では G6 シリーズ(Edge を除く)/ AI シリーズ/ Doorbell Lite が対象と明記されています。これより前の世代と他社製カメラは Teleport でのアダプトに対応しません。弊社が検証した G6 Instant は G6 シリーズに含まれます。
検証当時(Early Access)に非対応とされていた Doorbell Lite / G6 PTZ / G6 Mini Dome / AI Multi Sensor 2・4 は、いずれも「G6 シリーズ」「AI シリーズ」「Doorbell Lite」に含まれるため現在は対象です。逆に G6 Edge シリーズは明示的に除外されています。
必要バージョン(正式版)
| 項目 | 公式の必要バージョン |
|---|---|
| カメラファームウェア | 5.5.29 以上 |
| UniFi OS | 6.0.9 以上 |
| UniFi Protect | 7.3.68 以上 |
| Protect アプリ | iOS 3.12 以上 / Android 3.9 以上 |
検証当時は必要バージョンとして Protect 7.3.53 以上と案内されていましたが、正式には 7.3.68 以上が要件です。カメラ側も当時は「5.5.13 以上(5.5.21 以上推奨)」でしたが、正式版では 5.5.29 以上が要件になりました。弊社は 5.5.21 で成功していますが、現在は 5.5.29 以上に上げてから進めてください。
また公式には、アダプトを実行するユーザーが Cloud Gateway と NVR の両方で管理者権限を持っている必要があると記載されています。録画先は Cloud Gateway 本体か、そのローカルネットワークにつながった NVR のいずれかです。
インターネットが切れたときの挙動
エッジ録画に対応したカメラは、インターネットが切れている間もカメラ本体のローカルストレージへ録画を継続します。再接続した後に、その期間の映像をダウンロードできます。
拠点側の回線が不安定な現場では、これが実質的なバックアップになります。G6 Instant のようにローカルストレージが microSD カードの機種では、Teleport で採用する場合も microSD を入れておくことをおすすめします(こちらは弊社の運用上のおすすめで、公式要件ではありません)。
使えない機能がある
公式には、Teleport 接続のカメラでは 双方向通話が未対応(2026年10月3日時点)と記載されています。それ以外のカメラ機能はおおむね利用でき、追加ライセンスも不要です。
インターコム用途で双方向通話を想定している場合は、この制約が効いてきます。カメラのすべての機能が使えるわけではない点にご注意ください。
帯域と運用上の注意
帯域が限られる回線では、常時録画ではなく Adaptive(適応)または Event-Only(イベント時のみ)の録画設定が推奨されています。
また、Teleport を無効化するとリモートカメラは切断され、録画が停止します。 再度有効にしても自動では再接続されず、カメラ設置場所での再セットアップが必要です。遠隔拠点では現地への再訪問が発生するため、Teleport の設定変更は慎重に行ってください。
回線の自由度
Teleport で接続するカメラ側は、インターネットに出られれば他社製ルーターでもモバイル回線でも構いません。現地に UniFi 機器を置く必要がない、という本記事の主旨は公式でも裏付けられました。
ただし公式には条件があり、公開 IP を使わない場合は、カメラ側・録画先側のどちらにも CGNAT や多段 NAT がないことを確認する必要があると明記されています。日本のモバイル回線や一部の光回線は CGNAT が標準のため、ここは事前に確認しておくことをおすすめします。
なお、録画先となる Cloud Gateway 側には公開 WAN IP が強く推奨されています。公式の Teleport Adoption の記事に IPv6 への言及はなく、要件として挙げられているのは「公開 WAN IP」です。
一方、別記事の UniFi Gateway - Teleport VPN には「状況によって ゲートウェイの WAN 側に IPv6 接続が必要」とあり、弊社の検証ではまさにこれに当たりました(後述の「ハマり②」)。つまり公式要件は公開 WAN IP であって IPv6 そのものではありませんが、弊社の環境では WAN に IPv6 を付与するまでアダプトできませんでした。録画先の拠点側は、外部から到達できるアドレスを持たせておくのが確実です。
手順
1. コンソールを必要バージョンまで更新する
UniFi OS の Updates 画面で、UniFi OS 6.0.9 以上 / UniFi Protect 7.3.68 以上に更新します。
弊社が検証した2026年9月時点では Early Access チャネルに切り替える必要がありましたが、Protect 7.3 は正式リリース済みです。お使いのコンソールの安定版チャネルに該当バージョンが配信されているかは機種・時期によって異なるため、Updates 画面でご確認ください(安定版に届いていない場合のみ Early Access チャネルが必要になります)。
Protect 7.3 に上げると、Protect の 設定 > 一般 に 「Remote Camera Adoption」 という項目が追加されます。ここに 「Teleport Enabled」 と表示されていれば準備完了です(設定は Network アプリの Teleport と連動しています)。
2. Network で Teleport を有効にする
UniFi Network の 設定 > VPN で Teleport を有効にします。
3. 録画先ゲートウェイの WAN が公開IPかを確認する
公式が唯一「強く推奨」と明記しているネットワーク条件がこれです。録画先となる Cloud Gateway の WAN 側に公開 IP を持たせてください。 公開 IP を使わない場合は、カメラ側・録画先側のどちらにも CGNAT や多段 NAT がないことが条件になります。
補足:弊社の環境では WAN の IPv6 も必要でした
ここからは公式要件ではなく、弊社2拠点での検証結果です。片方の拠点でアダプトできず、原因が WAN の IPv6 の有無でした(詳しくは後述の「ハマり②」)。
UniFi Network の 設定 > インターネット > WAN で IPv6 を有効にし、WAN に IPv6 アドレスが付いていることを確認します。au ひかりの場合は次の設定で取得できました。
- IPv6 接続タイプ:DHCPv6
- プレフィックスデリゲーションサイズ:/56
※ 公式ヘルプでは「状況によって ゲートウェイの WAN 側に IPv6 接続が必要」とされており、LAN 側の IPv6 は必須ではないと明記されています。弊社の環境では WAN 側の IPv6 が実際に必要でした。日本の回線で UniFi の WAN に IPv6 を持たせる設定は、別記事「UniFiでv6プラス固定IPを終端する実装記録」でも詳しく触れています。
4. カメラのファームウェアを事前に上げておく
新品のカメラは、Teleport 対応前の古いファームウェアで出荷されている場合があります。未採用のカメラを遠隔で更新する手段はないため、次の流れで準備します。
- 手元でいったん通常どおり(ローカルで)アダプトする
- Protect からファームウェアを 5.5.29 以上(正式版の要件)に更新する
- Protect からカメラを削除し、工場出荷状態にリセットする
削除しても、ファームウェアのバージョンはそのまま残ります。公式にも「ローカル接続から Teleport 接続へ切り替えるにはカメラの工場出荷リセットが必要」と明記されています。
※ 弊社が検証した2026年9月時点では、カメラファームウェア 5.5.29 は Early Access での提供でした。現在このバージョンが安定版チャネルに配信されているかは確認できていません。Protect の更新画面に 5.5.29 が出てこない場合は、ステップ1と同様に Early Access チャネルへの切り替えが必要になります。
5. スマホの Protect アプリを更新する
アダプト操作はスマホアプリから行います。iOS 3.12 以上 / Android 3.9 以上が必要です。
- iOS:App Store で UniFi Protect を 3.12 以上に更新
- Android:Google Play で UniFi Protect を 3.9 以上に更新
弊社が検証した2026年9月時点では、この機能を含むアプリは Early Access のみの提供で、iOS は TestFlight から入手する必要がありました。現在は通常版で該当バージョンが配信されています。
6. 現地でカメラをアダプトする
カメラを現地のネットワークにつなぎ、スマホを未採用カメラと同じローカルネットワークに接続した状態で Protect アプリでカメラを検出させます(公式手順でも同一ネットワークへの接続が前提とされています)。アダプトの画面で Teleport の選択肢 が表示されるので、採用先のコンソールを選べば完了です。
G6 Instant のような Wi-Fi カメラの場合は、アプリから現地の Wi-Fi 情報を設定します。
ハマりポイント
ハマり①:「コンソールと同じ WiFi ネットワークに接続する必要があります」と表示される
原因:スマホアプリが通常版(3.11.x)だった
通常版のアプリでは Teleport の選択肢が出ず、従来どおり「コンソールと同じネットワークに接続して」と求められます。TestFlight で 3.12.0 に更新したところ、Teleport の設定画面が表示されるようになりました。
ハマり②:片方の拠点だけ「Teleport が無効です」と表示される
原因:コンソールの WAN に IPv6 アドレスがなかった
2拠点とも UniFi OS・Network・Protect のバージョンはまったく同じ。Teleport も有効で、Protect の設定にも「Teleport Enabled」と表示されていました。それでも UDM Pro Max 側だけ「Teleport が無効」と言われ、アダプトできませんでした。
2拠点の設定を見比べたところ、アダプトできた UCG Fiber は WAN に IPv6 アドレスがあり、できなかった UDM Pro Max にはありませんでした。 UDM Pro Max の WAN を DHCPv6(PD /56)に設定して IPv6 アドレスを取得させたところ、すぐにリモートアダプトに成功しました。
UniFi の公式ヘルプでも、Teleport は「状況によって WAN 側の IPv6 接続が必要」とされています。Protect Teleport を使う場合は、コンソールの WAN に IPv6 を持たせておくのが確実です。
補足:Teleport のアドレス帯は変更できない
Teleport で接続してきた機器には、未使用のサブネットが自動で割り当てられます(弊社の環境では 192.168.2.0/24 が割り当てられました)。弊社が確認した限り、このサブネットを管理画面から変更する項目は見当たりませんでした。現地の LAN が同じレンジと重なるとアドレスが衝突する可能性があるため、念のため確認しておくことをおすすめします。
※ 割り当て範囲の仕様と、アドレス重複時の挙動については公式ドキュメントに記載を見つけられていません。上記は弊社1環境での観測にもとづくものです。
まとめ
公式に明記されている要件・制約
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| コンソール | UniFi OS 6.0.9+ / Protect 7.3.68+ |
| Teleport | Network の VPN 設定で有効化 |
| カメラ | G6シリーズ(Edge除く)/ AIシリーズ / Doorbell Lite。FW 5.5.29+ に更新してからリセット |
| スマホアプリ | iOS 3.12+ / Android 3.9+ |
| 権限 | Cloud Gateway と NVR の両方で管理者権限が必要 |
| ネットワーク | 録画先の Cloud Gateway に公開 WAN IP を強く推奨。WAN 側 IPv6 は「状況によって必要」 |
| 制約 | 双方向通話は未対応 |
弊社の検証で分かったこと(公式要件ではありません)
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| WAN の IPv6 | 弊社2拠点では、WAN に IPv6 がない側はアダプトできなかった |
| カメラFW | 5.5.21 でも成功した(正式要件は 5.5.29 以上) |
| Teleport のサブネット | 192.168.2.0/24 が自動割当。管理画面に変更項目は見当たらなかった |
Protect Teleport を使えば、店舗・倉庫・工事現場・別荘など、UniFi 機器を置いていない場所のカメラも、本拠点でまとめて録画・管理できるようになります。拠点間 VPN の設計や、現地ルーターのポート開放が不要になるのは大きなメリットです。
本記事の執筆時点では、弊社が確認した限り公式の手順書が見当たりませんでしたが、現在は公式ドキュメントが公開されています(上の追記をご覧ください)。双方向通話が未対応である点など、用途によっては確認が必要な制約もあります。
UniFi Protect を使った監視カメラの導入や、複数拠点のネットワーク構築については、営業を介さず現役のエンジニアが直接ご相談を伺います。お気軽に NET INNOVATION までお問い合わせください。お見積りは無料です。あわせてセキュリティ設備のページとUniFi(Ubiquiti)導入・構築支援のページもご覧ください。
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参考リンク
- UniFi Protect iOS 3.12.0 リリースノート(UI Community・公開当時は Early Access)
- UniFi Protect Android 3.9.0 リリースノート(UI Community・公開当時は Early Access)
- UniFi Protect Cameras 5.5.29 リリースノート(UI Community・公開当時は Early Access)
- UniFi Protect: Teleport Adoption(Ubiquiti Help Center・公式手順書)
- UniFi Gateway - Teleport VPN(Ubiquiti Help Center)
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